あんなことこんなこと

へんてこなブログ

全方向音痴にグルメ情報サイトの地図はやさしくなって欲しい

 


方向音痴の気持ちを分かって欲しい。
私ものすごい方向音痴なんですよ。地図が全然読めない。アホほど読めない。みんな地図の読み方ってどこで習得したんですか???人に道を聞いた時に

 

「東の方に100メートル進むと、、、」

 

みたいな説明をされると、だから東ってどっち???右???左???まずそこから教えて???って感じになるんです。右とか左とかそういうんじゃないってのは何となくはわかるんですけど、でも、ね。


で、一番厄介なのが、グルメサイトの地図なんですよ。ご飯行く時にお店集合ってまあよくあるじゃないですか。お店集合となるとね、自力で行かなきゃいけないんですよ。自力で。そんでグルメサイト見て、地図とかお店までの行き方のところクリックするじゃないですか。で、出て来る地図

 

アバウトーーーーー!!!


いや、あれ、めちゃくちゃアバウトなお店情報多過ぎませんか。地図拡大して見てみるじゃないですか。そこから分かる情報って、最寄りの駅と、駅から3センチくらいのところにあることくらいですから。3センチって何メートルだよ。縮尺とかそういうのもよく分かんないですもん。ちょっとちょっとお店さん、方向音痴の気持ち考えたことあります???って聞きたくなるんですよ。

 

そもそも、方向音痴は地図回しますから。ぐるぐる回します。そして自分も一緒に回ります。地図読めるでしょって前提でマップ貼り付けるだけの説明じゃたどり着かないんですよ。で、だいたい「もしもしごめん、迷ったから先にはじめてて!!!ところで今ここにいるけど合ってる???」ってなるんですよ。迷うこと想定して早めに最寄行っても、何だかんだで到着するの遅くなりますから。あれ困る。

 

だから、これは少数派なんですけど、お店までの道順とか事細かに書いてるお店のサイトとか見つけると感動します。「駅出て左折しそのまま直進すると右手にコンビニがあってつきあたりを曲がると当店です」みたいな説明。すごい親切だなあと思います。写真とか付けてくれちゃってるの見ると最高、、、最高、、、ってなります。おっ、もしかしてお店に方向音痴の方います???仲間か???って思いますもん。いいんですよ、その方向音痴。他の方向音痴に役立ってますから。最高です。

 

というわけで、お店の道順ってもっとわかりやすくならないですかね。お店の食べ物を加工しまくってサンシャインしてる写真を載せるのもいいんですけど、地図にも工夫して欲しい。ほら、行きやすさとか分かれば、じゃあここ行ってみようとかなるかもしれないじゃないですか。ごめんごめん遅くなってごめんって平謝りしなければいけない日々をなくしたい。だから地図を、地図を、地図を、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


読めるようになればいいの、か

 

 

 

 

 

 

 

 

パーソナルカラー診断に行ったら色に選ばれない側から色を選ぶ側に変わった


今年の5月くらいに人生で初めてパーソナルカラー診断に行ったんですけど、診断受けてからこの約半年の間で「行って良かった」と思うことが多かった。どう考えても今年やって良かったことランキング堂々の第1位です。

何が一番良かったって、何年もずっと”似合わない”と思ってた色が実は”似合う色”だったって分かったこと。
パーソナルカラー診断行った時に、診断前に診断士さんとお話する時間がちょっとだけあったんですけど「どういった色が似合うと思いますか?また苦手だと思う色はありますか?」って聞かれたんですよ。で、私ずっとピンク色が苦手だと思ってて。特に、青みピンクが苦手だと思ってたんです。何か、青みがかったピンクって、色自体が可愛いから似合う人を選ぶ色だな~~~なんて思ってて。私はそんな可愛い色に”選ばれない側”の人間なんじゃないかっていう卑下精神みたいなものが全面に出てしまって、どうしてもチャレンジできなかったんです。「私があなた(青みピンク)を選んでないわけじゃない、あなた(青みピンク)が私を選んでくれないのが悪いんだ!!!」くらいに思ってました。で、まあ診断士さんにも「ピンクはちょっと」という話をして、じゃあみていきましょうって感じでパーソナルカラー診断開始したんです。


部屋に入って明るい照明の下、ドレープっていう様々な色の布をパッパッパッて顔の前でめくられるわけですよ。それはもうすごい勢いで。そもそも私、パーソナルカラー診断って「ジャジャン!!!あなたにはこの色が似合うでしょ~う」って占いみたいにやられるのかと思ってたんですよね。占い行ったことないけど。でも、全然違って、4シーズンの中からあなたの系統はどれかって診断して行くんですね。例えば、ピンクはピンクでもサマー・スプリング・オータム・ウィンターって感じで4種類のピンクを顔に当てていくんですよ。ピンクに限らずイエローとかブルーとか様々な色を4種類ずつ当てていって。で、「このピンクは顔を明るく見せてくれて顔も引き締めてくれますね~」とか「このイエローは顔を明るく見せてくれるけど、こちらのイエローはちょっとくすみますねえ」とか。で、トータルで自分のシーズンをみてもらうんですけど。基準は、どの色が似合うかというより「どの色が自分をより良く魅せてくれるか」で判断されているような気がします。一通りみてもらって

「うん、あなたは1stがサマー、2ndがスプリングですね」

って断言されました。私の場合、1stと2ndに大差はなかったらしいんですけど、若干サマーの方が顔に映える色が多かったみたいでサマーになったみたいです。肌の色味もみてくれたんですけど、イエローベースかブルーベースかで、完全なる「ブルーベース」らしいです。自分ではずっとイエベだと思ってたよ。全部、真逆じゃないですか。どうなってんの。見えてる世界違くない???って思いましたよ。そんで、もっとびっくりしたのがここから。更にサマーの中で使うといい色の系統を教えてくれたんですけど

「青みがかったピンク、とってもお似合いです」

って、ええ~~~~~!!!
だってね、だって、私ずっとこういう色が似合わないと思って生きてきたんですよ。服屋に行ってもそういう色選ぶの避けてきたし。っていうかこの色には「選ばれない側の人間」だと思ってた。でも、一番似合う色に選ばれてしまった。ただ、イメージもあるから今後完全にその色を選ぶべきって話ではないらしいんですけど、取り入れると私の場合もっと華やかになるって言われて。でもドレープ当ててた時に確かに顔に一番ツヤが出たのが青みピンクだったんですよね。これにはほほ~~~んって感じでちょっと納得でした。今までイエベ肌だと思っていたので、化粧品もそういった基準で選んでいましたが、パーソナルカラー診断受けてからちょっと見直そうって気持ちが芽生えました。コーラルピンクだらけの化粧ポーチに変化の予感がしました。


パーソナルカラー受けた時期、自分の顔にめちゃくちゃ飽きてたんですよ。顔っていうかメイク。自分の顔って毎日見るじゃないですか。メイクも朝起きて出社する前にルーティーンのようにやる。もちろんもっと研究とかすればいいんでしょうけど、それでも何だかあんまり変わりばえしない感じがして、どうにかちょっとでもいいから変えたかった。その頃にパーソナルカラー受けたんで、めちゃくちゃ良いキッカケでした。


「印象を変えたいならまずリップ」
ツイッター見てたらこんな言葉が目に入ってきました。確かにそうなんですよね。リップってメイクのイロハのイの、何ならイの一画目くらいじゃないですか。中学生くらいでメイクに目覚める女子が最初にやろうとするのって、アイメイクとリップなんですよ。で、口に色がついただけで妙に大人っぽくなるんですよ。何となく。思い返すと自分もそうだったなと思い、まずリップ変えようかなって思ったんです。で、早速コスメを買いに行きました。


買いに行って、もちろんパーソナルカラー診断の結果を存分に活かしました。今までなら必ずコーラルとか選んでたんですよ。イエベだと思ってたし使い慣れてるというのもあって。でも、青みがかったピンクを初めて選んでみました。試しに塗ってみた時はピンと来なかったけどとりあえず1本使ってみることに決めて会計。今までは「ああ、私はこの色に選ばれない人間だ」ってスルーしてたんですよ。でも、カラー診断を受けてからは青みピンクを「選ぶ側」になれたんです。そういうピンクを選ぶことを許されたような気持ちにさえなりました。きっと本当はずっと選んでみたかったのかもしれない。選ばれなかった私が選ぶ側になった最初の瞬間です。


コスメを買って1週間は一日置きにコーラル系のリップと新しく買った青み系のピンクの口紅をつけて過ごしてみました。最初は見慣れなかったんですけど、今では青み系のピンクの方が顔が明るく瑞々しくなるかなって思って使う機会がかなり増えました。それ以来、約半年ちょい経ちますが、その系統のリップも徐々に増えています。客観視してもらうってもとっても大切なことなのかもしれませんね。コスメ選びが楽しくなりました。


ピンクを選ぶ側になるキッカケをくれたパーソナルカラー診断、今年やって良かったこと第1位です。

 

湿った夏がはじまりました


aikoの湿った夏のはじまり、発売されましたね。待ってました。店着日には仕事を早々に切り上げ、CDショップに駆け込み、手にして早速聞いた。何て言うか今までのアルバムよりもクセが強い。それはもちろん良い意味でとらえて欲しいです。褒めてる。完全に褒めてる。そんな訳で、感想の鮮度が高いうちにここに書き置きしておきたいと思う。


初めて聞いた時、色んな角度から切り込んだアルバムだなと思ったけど、一番度肝を抜かれたのは「夜空綺麗」だった。一度通して聞いた時に完全にこの曲で引っかかって。何これ?って、一番グッと来た。何でこんなにグッと来るんだろう?何でこんなに引っかかるんだろう?だけど好きな曲に理由なんてないよな、なんて思いながらクレジット見たら納得。そういうことか、と腑におちました。好きに理由なんていらないけど、今回ばかりはその曲が好きな理由と答えがちゃんとあった。

あとは「あたしのせい」はピアスのエピソードが曲になってるやつですね。ライブの風景が浮かぶ一曲だなと思いました。「ハナガサイタ」はさすがとしか言えない。

 


さて、20周年ツアーが始まりました。実は初日に参戦してきました。ネタバレになるので内容は言えないけれど、「特別感ではなくいつも通りに」と言っていたのが彼女らしいなあと思った。本当はアルバムの話もライブの話ももっと切り込んで書きたいのだけれど、ネタバレは避けたいので割愛させていただきます。

 

だけどとにかく素敵な初日だった。

事前告知無しで注釈付きの席になってしまった人達への気づかいはネット上で書かれている通りで、人に好かれる才能と、嫌われない才能を持ち併せた彼女らしい対応だなと思った。人に好かれることも難しいけど、それと同じくらい嫌われないことも難しい。人の心の扉が閉まってしまう瞬間っていつどこにあるか分からないですからね。そこにいる人の立場になって考えられる彼女らしい対応で、人柄がよく表れてて素敵だと思いました。

 


アルバム発売にツアーと、取りいそぎ書いておきたかったので、文章を置いときます。今後ライブがどのように進んで行くのか楽しみ。

 


20周年おめでとうございます

 

 

シャンシャンに会うため上野動物園に行った

 

今、会えるアイドル、シャンシャンに会いに上野動物園へ行って来た。

 

パンダはどんどん大きくなってしまうため、シャンシャンにはどうしても1歳をむかえる前に会っておきたかった。そんな気持ちを持ちつつタイミングを見計らっていたところ、3月の平日で会社が休みの日があったので、ここぞとばかりに友人を誘い、上野動物園へ行くことを決心した。上野動物園に行くのなんて恐らく小学生の頃以来だったので予備知識が何もなかった私と友人は、とりあえず早く到着することだけを決めて9:30開園のその1時間前に上野動物園に着くことを約束した。

 


当日。
電車の遅延などあれこれあり、予定よりちょっとばかり遅い朝8:40頃上野駅に到着。50分頃からチケット窓口に並び始めた。駅からチケット窓口までの道はよく調べていなかったけどれど、すぐに分かった。走る、走る。みーんな走っている。えっ、シャンシャンってそんなにダッシュしなきゃ会えないのだろうかと頭の上に「?」を浮かべたまま、私も流されるがままに走った。到着した8:50頃にはそこそこ窓口列に人が並んでいた。

 

列は2パターンあり、「チケット窓口列」と「入場待機列」に分かれていた。入場待機列に並んでいいのは、事前に年パスやら何かでチケットをゲットしている人だけである。事前にチケットが購入できるのかどうか、私も行く前日に調べたが、基本的に「前売り」というものは存在しないそうで、私はまずチケット窓口に並ばなくてはならなかった。チケット窓口に並んでいる間、友人と話しつつも周りの人の会話が耳に入って来ていたのだが、やはりみんなシャンシャン目当てなのかなという印象。そして9:30になりいよいよ開園。遅れることも早まることもなくぴったり9:30だったように思う。そこで順番にチケット窓口で入場券を購入。購入できたらいよいよチケットを見せて入園できる。

 

入園したらどこに行けばいいんだろう?という心配は無用。入ってすぐ左手の方向にみんなダッシュして行くのが見えた。そちらの方へ歩いて行くとすぐに整理券配布場所がある。配布場所の前には今現在、何時から何時までの分の整理券を配布していますという看板を持った職員さんがいるので、そこで時間を確認できる。私が行った時に配っていたのは、集合時間が10:10から10:30の整理券。それを受け取る。この時間に配布場所のすぐ反対側にある集合場所へと行けばパンダ舎に入れてもらえる。

 
10:10頃まで他の動物を見て、時間になってからパンダ舎前の集合場所へ向かった。私達が集合場所に到着すると既に10:10からの回の整理券を持っている人たちが列をなし並んでいた。その一番後ろに並ぼうとした時に整理券の時間を係員さんに確認される。そしてあとは自分達の順番が来るのを待つばかりだ。整理券は確認された後もうちょっと進んだところで他の係員さんに回収されてしまうので、記念にしたい人なんかは写真に収めておくといいかもしれない。

 

いよいよ、パンダ舎への入場。その前に1グループ20人だか25人くらいだかで区切られる。この人数でパンダ舎を見学することになる。入場前に、移動する際は危ないので撮影の手は止めてください等の注意事項がアナウンスされる。


パンダ舎に入ると、中が4ヶ所で区切られている。1ヶ所、約30秒(だったかな?)ずつ見学できる。外コーナーが3ヶ所、中コーナーが1ヶ所といった感じだったかな。(この辺興奮してて記憶が曖昧ですみません)なのでパンダ舎の見学をできるのは30秒×計4ヶ所、つまり全部で2分。移動はゆっくりするのでその移動の時間を含めても3分、多くて4分ないくらい。中にはシンシンとシャンシャンがいるはずなのだが、もちろん自由に動き回っているためどこにいるかは入ってみないと分からない。

 
私が行った回は、第1コーナーで既にシンシンがいた。しかもシンシンがちょうど竹を食べている最中だった。見学通路に向かって竹をムシャムシャ食べててくれて、本当に近くからこちらを向いて食事している姿が見られて既に大興奮。周りにいた人も可愛いの嵐。ほら、私の食事姿見てみなさい、と言わんばかりの食べっぷりとカメラ目線の大サービス。もう、この時点で満足度は高かった。しかし、まだシャンシャンがいない。シャンシャンはどこ?おーい、シャンシャン?と探しながら第2コーナーと第3コーナーの30秒ずつがおわった。そして第4コーナーへ移動する。第4コーナーは先述した通り、第1から3の屋外とは違い、屋内の目の前となっている。そして、いた!!!シャンシャンいた!!!なんと屋内に置いてある枝分かれした木の上でのんびりしてました。

 

そして第4コーナーの30秒がスタート。
ねむかったのか、シャンシャン最初は枝分かれした木の上に座って顔は通路と反対側を向いていたので、見えたのは背中だけ。あー、顔が、顔が見たい!!!そう思っていたら同じグループの小さいお子さんが「シャンシャン起きて〜〜!!!」とシャンシャンに向かって話し掛けた。そうすると、さすがはアイドル!!!(と言っても声は聞こえてないはずなので、ただの偶然だが)ムクッと起きて、顔をこちらに向けると、目や顔を擦る仕草をした後、大あくび。一気に「可愛い〜〜!!!」という黄色い歓声が巻き起こった。そしてその後ちょっと伸びをして、ねむかったのか、また顔を背けてパタッとねてしまった。ここで私達のグループの30秒がおわった。

 

たった2分と言う人がいるかもしれない。だけど、想像以上に満たされた2分間だった。あとは運だと思った。同じ10:10グループでも何グループ目に入るかで見られるシャンシャンの姿がきっと全然違うのだと思う。恐らく私達のひとつ前のグループはシャンシャンがねてる背中しか見られていなかっただろうが、私達はムクッと起きたところを見ることができた。この辺はどうにもできないくらい、運にかかっている。


こうして大満足した私と友人は、迷うことなくお土産コーナーに駆け込み、シャンシャングッズを買い込んだ。無事にピンクピン太郎も買えた。(ピンクピン太郎を知らない人は是非とも検索してください笑)私たち完全にシャンシャンの虜となっていた。お土産コーナーのレジに並んでいる途中、シャンシャンの大ファンだというご婦人に声をかけられ、「シャンシャンは世界一可愛いの」と語りかけられてちょっと驚いたが、あの可愛さならご婦人がハマってしまっているのも納得である。30秒で人を幸せにできるなんて、シャンシャンは正真正銘のアイドルなんじゃないかと。

 
その後、私たちは動物園内をぐるぐる歩いて動物園を出たのが14:00頃。たっぷり堪能した。他にも可愛い動物はいっぱいいたが、シャンシャンの記事として書いているので割愛する。

とにかく行って良かった。パンダは一回見ればいいかなくらいの気持ちでいたのだが、シャンシャンのリピーターになってしまう人の気持ちが、生で見て初めて分かった。まだまだシャンシャンフィーバーが続きそうなので、これから行く方の参考になれば。

 

ちなみに私は家に戻ってからひたすらツイッターで「シャンシャン」と検索をかけ、皆さんが上げている写真や動画を見て楽しんでいます。だって可愛いんだもん!!!!!すっかり虜、そして大ファンになりました。

ライブキッズが好きそうなaikoの曲

 

会社の同僚に、よくaikoのライブに行くという話をした時のこと。前回のツアー(LLR8)では、例えばZeppとかでライブしてたんですよと話すと「ZeppZeppってあのZeppですか?」と聞かれたので、いや、他にどのZeppがあるんだと心の中でツッコミながら「あのライブハウスのZeppですよ」と答えたら同僚はとても驚いていた。

世間のaikoのイメージはどうなんだろうか。代表曲カブトムシのようにバラードでしっとり決めてるイメージなんだろうか。それも間違っていないし大正解だけど、もちろんそれだけじゃない。

 

aikoのライブには物凄く大きく分けると、ホールやアリーナを回るPOPツアーとライブハウスを回るROCKツアーがある。もちろんそれぞれ会場の仕様が違えばそのツアーの特性も違う。盛り上がるポイントがそれぞれあって、特にライブハウスの方はバラードコーナーを除けば、aikoが煽る煽る。何ならaiko、ライブめちゃくちゃピョンピョンび跳ねてるし、ステージの隅から隅まで使って踊り狂っている。会場のメインステージから中央辺りまで花道を作って、花道全力ダッシュしたり。ファンの中ではお馴染みの光景でも、きっとaikoイコールカブトムシ的イメージを持ってる人が見たらギャップで腰を抜かすかもしれない。アンコールの頃にはすっかり汗まみれになったaikoを見ると、何だこのライブアスリートは、と思う。

そんなライブを可能にしているのが、やはり楽曲の存在だ。ライブハウスに似合う曲だって本当は数え切れないほどたくさんあるんだということだけは書いておきたいので、以降、ライブハウスにいる「ライブキッズ達が好きそうなaikoの曲」と題してとにかく盛り上がる曲だけを並べて行きたい。選んだのは全16曲。J POP聞かないよっていう人も、ちょっと印象変わるんじゃないかな。

 


1.be master of life

これを書き始めた時いちばん最初に思い浮かんだのがこの曲。aikoのライブでも欠かせない。

 

後ろ振り向かずに歩くこと
あたしは何があっても生きる
誰が何を言おうと関係ない
あたしは味方よそんなの当たり前の話よ

 

ライブでは、あたしは何があっても生きるの「生きる」でめちゃくちゃ溜める。溜めに溜める。「いーきーるーーーイェーーー!!!」盛り上がりがピークに達したところでaikoはお立ち台の上で片足を「ダンッ」と踏み鳴らしドラムをはじめバンドメンバーに合図を出してサビに入る。これがめちゃくちゃかっこいいんだ。

 

2.ボーイフレンド

いや、もうこれあまりにも名曲だからどこで書こうか、何なら書かなくてもいいかとも思ったけど、やっぱり書いておきます。ああ〜〜〜テトラポット登って〜〜〜のところの、ああ〜〜〜をみんなで合唱するのが恒例。インスタ映えならぬライブハウス映え。


3.運命

とってもポップで明るいメロディ。もしaikoが夏フェスに出てこの曲を歌ったらサビ前とサビの間にサークルモッシュできそうだなあとイメージできる曲。

 

あなたを愛していた もうそんな事も忘れた
冗談まじりに運命を信じていた
今は元気にしてるの?
ねえ本当にあの時抱きしめてくれたのは
あなただったの?

 

しかし、歌詞はめちゃくちゃ切ない。歌詞の切なさを隠すようにメロディが明るいのがとても印象的。いやあ、しかしあのメロディでこの歌詞は更に切ない。改めて文字に起こして見ると切なくて驚く。ちなみにaikoのライブはサークルモッシュもダイブもない。

 

4.雲は白リンゴは赤

歌詞を文字に起こして見ると切ないシリーズ第二弾。めちゃくちゃ切ないのにaikoがはちゃめちゃ元気に歌い上げるのがこの曲。ライブハウスツアーが発表された時にこの曲今回は入るかなあと個人的には密かに楽しみにしています。だってこの曲、普段聞いててもライブで聞いてもたまらなく楽しい。


5.小鳥公園

この曲はベースがベースベースしてる曲。ライブキッズって、ベースがベースベースしてる曲好きそうだよなあという超絶勝手なイメージにより選曲。根岸孝旨さんが編曲しています。ベースがベースベースしているのも納得。ちなみにベースがベースベースしてるという表現は、私に音楽的知識が皆無であるところから来ています。分かりにくいよと思った方、どうか石投げないで。


6.ビードロの夜

ベースがベースベースしてる曲の第二弾。ビードロの夜と、小鳥公園のどちらを三国駅のカップリング曲にするか最後まで迷ったという一曲で。私としては、ごりごりに推したいのがこのビードロの夜。ライブハウスに似合い過ぎると思います。本当にかっこいいの一言につきる。もうね、本当に、かっこいい!!!聞いてください!!!以上!!!


7.愛の病

イントロが鳴った瞬間に、イントロドンかよって思うくらい瞬時に歓声が上がり圧縮がかかる曲。aikoのファンでない友人がaikoのライブに行って好きになって帰って来たのを聞いて、ああスッと入って来る曲なんだなあと思ったことがあります。カブトムシやボーイフレンドのような代表曲以外で、何を聞けばいいのと思っている方には入りやすい曲な気がしている。


8.milk

これもaikoの中では有名な曲な気がしてるんだけど、どうなんだろう。ライブになるとaikoがお立ち台に足かけて跳ねながら歌う曲です。ちなみに盛り上げ過ぎてaikoがこの曲でズッコケてるのを見たことがあって。大きな怪我にならなくて良かったけど、そのくらい思いっ切り歌う気持ち良さがあって、そのことを思い出す度に愛おしいなあと思います。リズム感が試される曲なのでライブキッズには是非聞いて欲しい。

 

もっと心踊る世界が

すぐ隣にあったとしても

乱れたあなたの髪に

触れられるこの世界がいい

 

余談ですがこのフレーズがめちゃくちゃ好き。


9.beat

リズム感が試される曲、第二弾。とにかく可愛くて、サークルモッシュとかそういうんじゃなく、みんなが跳ねたくなるようなポップでキュートなメロディ。確か以前年越しライブをした時、これが新年1曲目じゃなかったかな。新年一発目に演りたくなる曲ってそれだけでもう聞いて欲しい。ハッピーニューイヤー。

 

10.舌打ち

歌詞が詰め込まれている曲なので、とにかく勢いが凄い。勢いとか迫力がある曲は無条件にライブハウスの小さくて狭い空間で聞きたいと思ってしまうので選曲。この曲のかっこよさはライブに散りばめられている気がする。正にライブ映え。カブトムシしか知らない人には特に聞いてみて欲しい。歌詞もそうだけど、何より曲名が攻めてる。

 

11.エナジー

2人は気付いてた 全て解ってた

あなたを好きであたしを好きだと

イントロ無しでいきなりここから始まるところがかっこいい。ライブで来るとゾワッとする曲。盛り上がるというか、ひたすらかっこいい。これ何でおすすめしたくなるかって上手く説明できないんだけど、かっこいい。そして出だしの歌詞最高じゃないですか。もう、最高じゃないですか???

 

12.赤いランプ

 いや、これももうかなり有名だから書くかどうか迷ったけど、知らない人がいれば是非聞いて欲しいという意味を込めて選曲。イントロ鳴った瞬間の盛り上がりが凄い。直近だとこの前のツアー(LLR8)でずっと歌ってたっけ。メインステージから花道をダッシュしてバックステージに移動して来るaiko。迫力が凄かった。いや、もうこれがライブハウスの醍醐味だよなあと改めて思った一曲。イントロが超絶かっこいい。

 

13.あした 

aikoのデビューシングル。これライブハウスで歌ってる映像も残ってるので、是非見て欲しいんですけど、小さいハコで異様な盛り上がりを見せるこの曲。実は唯一aikoが作曲していない曲なので迷ったけど、aikoが歌ってるってことに変わりはないし、曲のかっこよさがえげつないので選曲。

 

14.夢見る隙間

今、挙げて来た曲の中では割と最近の曲。ライブだとクラップがあるのでテンション上がります。クラップとかライブキッズ好きそうだよな、と思い選曲。リリースしてからライブの序盤に入れてる回数が多い気がする。会場の熱を上げる時に入れてる印象。私も通勤でテンション上げたい時よく聞いてる。

 

15.恋愛ジャンキー

実はこれ書いてる時に、15曲に絞って書いてて。で、見返してる時にあれ何か足りないなあと思って慌てて書き足しました。絞れてないじゃないかって言われても、この曲はこのテーマで書くならどうしても外せなかった。初めて聞いた時、aikoこんな曲も歌うの?って度肝を抜かれた一曲。ライブでとにかくシャウトしまくってて何度見ても印象に残る。ライブ楽しかったなあと思い返した時によく浮かぶのがこの曲なので、選曲。これぜったいロックバンド好きな人はハマると思う。と思ってロックンロール好きの友達に勧めたら見事にハマってた。

 

16.Power of Love

いやあ、ラストめちゃくちゃ迷った。でも、やっぱこれだなって思いました。aikoのライブってライブ後の多幸感が凄くて。それは自分の感覚だけではなくて、本当に会場中に幸せオーラが漂ってて。その多幸感を作り上げるのに何度も力を発揮しているのがこの曲だなと思ったので、選曲。歌詞もとにかく幸せ。メロディも幸せ。何と言ってもめちゃくちゃのれる。誰が聞いても好きになってもらえそうというイメージで決めました。

 


以上、16曲。

もっと書きたい!!!と思ったのが本音。
恋のスーパーボールとか、帽子と水着と水平線とか、ジェットとか、Loveletterみたいなライブ定番曲も入れたかった。あと個人的には、恋ひ明かす、キスが巡る、猫、彼の落書きなんかも。あ、いや、待って、落書きめっちゃライブ映えするな。ああ、何で入れなかったんだ!!!というわけで、知らない人は聞いてください。


結論、16曲に収まらなかった!!!!!


それでは以下、一応挙げた16曲が入ったCDを置いとくので聞いてみたい方はどうぞ。

 

夏服

1.be master of life

2.ボーイフレンド

 

時のシルエット (通常仕様)

3.運命

 

彼女

4.雲は白リンゴは赤

 

三国駅

 5.小鳥公園

 

夢の中のまっすぐな道

 6.ビードロの夜

11.エナジー

 

まとめ?(通常盤)

7.愛の病

 

BABY[通常仕様]

8.milk

9.beat

 

君の隣 (通常仕様)

10.舌打ち

 

まとめ?(通常盤)

12.赤いランプ

 

小さな丸い好日

13.あした

 

夢見る隙間(通常仕様)

14.夢見る隙間

 

桜の木の下

15.恋愛ジャンキー(ボーナストラック)

16.Power of Love

 

 

 

 

aikoを体験する

 

今までで一番聞いているアーティストは?そう聞かれれば、私の答えは間違いなくaikoだ。私が胸を張って大好きだと公言しているバンドやアーティストは何組かいる。(それについてはまた機会があれば書きたい)その中のひとつがaikoだ。

aikoを聞くことは日常のルーティーンのようなものになってしまっている。 ご飯を食べ、歯を磨き、お風呂に入るのと同じようにaikoを聞く。息を吸うようにaikoを聞く。私は音楽それ自体が大好きでたまらないので、最新のヒット曲も聞けば、解散してしまったバンドの曲も聞く。要は色んなものに触れてみたいため、日常で音楽を聞く際ひとつの音楽に留まっていることはなかなか少ないのだが、aikoに関しては聞き方がちょっと特殊かもしれない。一日一曲以上、一日いちaiko、と言った感じで毎日聞かないと「あれ、今日は何だか物足りないな」とまで思ってしまうくらい私の耳は日々aikoを欲している。こういった状況はaiko好きの方には分かっていただける気がするのだが、彼女の楽曲は非常に中毒性が高い。aikoを聞いていると恋してる気分にも失恋した気分にもなれるし、今あなたが好きなのという現在進行形の気持ちにも、あなたが好きだったのという過去を想う気持ちにもなれる。aikoはどうしてこんなに聞き手のことを知っているのだろうと不思議に思いながら、また再生ボタンを押し、aikoのループが完成する。20年で200曲以上、そこから数え切れないほどの気持ちを聞き手に与えてくれるaikoの楽曲は、というかaikoは、一度耳に住み着くとなかなか離れてくれない。私の耳の中には小さなaikoが住み着いている。彼女の曲をこうやって重ねて聞いてしまうのは、彼女の楽曲の特徴がそうさせているのかもしれない。

 

私は、aikoの曲を憑依型ソングだと思っている。恋を歌った曲が支持されていることを表す時によく「共感されている曲」という表現を目にするし、確かに好きだと感じる曲はどこか共感できることが多いような気がするのだが、彼女の曲の場合はちょっと特殊で、共感型というより憑依型と言った方がしっくりくるような気がしている。自分の経験と重ね合わせて共感しているというより、aikoを疑似体験している感覚に近い。彼女自身の経験を彼女自身の独特な言い回しで表した歌詞の世界観は、例え経験したことのない状況でもいつのまにか完全に聞き手である私に乗り移る。aikoが20年間で生み出した200曲以上の全て「分かる」なんて本当はなかなかありえないことだと思うが、aikoが乗り移り200曲以上aikoを疑似体験をしている私は、その200曲以上の曲を「分かる」気がしてならない感覚に陥ってしまう。ただ、それは共感による「分かる」ではなくて、aikoが乗り移ったことによる「分かる」なので自分の経験から得た「分かる」ではないような気がしている。

 

自分が経験したこと、してないこと全て「分かる」ような感覚になる要因はいくつもあるはずだけれども、その中のひとつにaikoの特徴である「あたし」三昧も関係しているような気がしている。aikoの書く曲には必ずと言っていいほど「あたし」という一人称が登場する。それも一度や二度ではなく、一曲の中で何度も何度も。どの曲を再生してもこれでもかってくらいに「あたし」「あたし」の連続が待ち構えている。aikoが昔契約していたところの担当者から、「あたし」という単語を使い過ぎて、あたしの部分に印をつけられ「ほらこんなにある」と注意されていたというエピソードが残っているほど、aikoの歌は「あたしの歌」なのだ。その「あたし」は知らず知らずのうちに聞き手である「私」に乗り移り、あたし?あたしって私?といった具合に最終的には「aikoは私か?」という錯覚に陥り、いつしか「あたしの歌」は「私の歌」となっている。それくらいaikoが繰り返し使う「あたし」という一人称には強い魔力が潜み、あたしを経由してaikoの楽曲は聞き手に憑依し、知らぬ間に彼女の世界観へ連れ込むことに成功している、そんな気がしてならない。これがaikoの曲を聞くことが、aikoを疑似体験しているということになっている、そういうことなのかもしれないと何となく思っている。

 

と、ここまでだいぶ訳の分からない様子のおかしな文章を書いているのは百も承知だ。承知だが、aikoが乗り移る体験しているのは、実は私だけではないような気がしてならない。以前、aikoのファンである男友達にaikoの「シアワセ」のサビ前の歌詞がとても好きだという話をしたことがある。 

見上げたら喉が愛おしかったので

甘いキャンディーの事も忘れて

小さいあたしの唯一の特権

思わずキスをしたの(シアワセ)

その時に彼は「俺もそこが好き」と話していたのだが、180センチ以上ある長身の彼にはおそらく「見上げたら喉が愛おしかった」経験も「小さいあたしの特権」を感じたこともそうはないのではないかと思い、「それは共感できるっていうこと?」と返すと「いや、共感じゃないけどなんか分かる気がする」と話していた。この話を聞いた時になんか分かるのはきっと彼の耳の中にもaikoが住み着いてて、知らぬ間にaikoの目線からaikoの景色を体験しているからだろうなと思った。経験したことのないことも楽曲を通してaikoを体験することで「なんか分かる」ようになるのだと思う。もちろん彼自身はそんなこと微塵も思っていないだろうけれど。

 

アーティスト自身の個人的な歌が気付けば普遍的な歌になっているというのは色んなアーティストに当てはまる話ではあると思うけれど、aikoに関してはそのケースがあまりにも多く、それが20年変わらずいる。変わらないと言ってしまうと成長してないだとか進歩してないという意味に取られがちだけれど、aikoの場合は変わらないことに挑んでいるのだと思う。そんな変わらない「あたし」の世界観を体験し夢中になっている人が20年通して沢山いるのだろうな、というのはファンのツイッターやライブ会場の様子を見ているとあながち間違った感覚ではないように思える。彼女のファンが「ジャンキー」(麻薬中毒患者。転じて、何かに夢中になっている人)と総称されているのが何よりの証拠だ。aikoの世界観を体験し、aikoの世界観とaiko自体に夢中になっている人がaikoジャンキーになってるのかもしれないなと思う。好きの理由は人それぞれだからもちろん一概には言えないけどそういう人だっているんじゃないかなと、と言うか私の好きの理由はそれなんだよなあと思う瞬間が最近いっぱいあったので、言葉にしてみたくなった。

 

まあ、ここまでさんざんあれこれ書いておいて結局何が言いたいかというと、私もそんなaikoにどっぷりのaikoジャンキーの一人だ、ということ。aiko20周年イヤー楽しみで仕方ない。早くaikoを体験したい。aikoをまだ体験したことのない人で興味を持った人がいたら、是非体験してみて欲しい。最初はやっぱりベスト盤を聞くのが良いと思う。もうそろそろライブの発表とかあるかな。楽しみだなあ。

まとめ?(通常盤)

まとめ?(通常盤)

 

「イン・ザ・プール」のレビューが面白かったので読んでみたら思いの外グッと来た話


「ただひたすら面白く笑いながら一気に読みました。但し、読んで何も残るものはありません」

ここ最近もやもやするテーマの小説ばかり読んでいることが多かったので、なるべく明るくてコミカルなものはないものかとネットでリサーチしていたところ、こんなレビューを発見し一気に心を奪われてしまった。しかもこんな感想が一つや二つではなく、この本のレビューをスクロールした分だけ出て来る。これまで読みながらお腹を抱えて笑ってしまうような「面白さ」を持つ小説には出会ったことはあるけれど、読者が口を揃えて「何も残らない」という感想を残している小説はなかなかない気がしたので、どうしても読みたくなった。「面白い」の後に続く「何も残らない」がこの小説の馬鹿馬鹿しさを強調してる気がしてならず、どうしてもその体験がしたくなったので、レビューを見てすぐに本屋へ直行し、2018年の新年一冊目として読むことに決めた。

イン・ザ・プールは、精神科医の伊良部先生を主人公として、その患者5人分とのストーリーが織り成されている短編集。このように書くととてつもなくまともな小説に見えるが、ここに出て来る伊良部先生の設定がとにかくひどい。マザコン色白巨体の注射マニア。おまけに患者5人全員から初対面の時点で見下されている。本当に医者なのかと疑ってしまうような言動の数々。天然なのか計算なのか分からないような突拍子もない行動を取るも、その言動によりいつの間にか患者の症状の核心に迫っていて気付くと解決してしまっている、簡単に言うとそんな話。
とにかく伊良部先生の予測不能な言動の数々に笑ったり呆気に取られたり驚いている間にストーリーが進み完結してしまう。患者もなかなか個性的な、でも現実にありそうな、そんな現実と物語ぎりぎりの境界線に存在するようなキャラクターばかりで、ああ分かる分かると思ってしまう部分が多数ある。そんな個性的な患者達が伊良部先生の奔放な言動に振り回されるものなので、真面目な精神科系小説を期待する人からすれば「何も残らなかった」というレビューは妥当過ぎて思わずクスッと込み上げるものがあった。ただ、どうしても「何も残らなかった」と全てを片付けてしまうには惜しいくらい、印象に残った伊良部先生の言葉があったのでそこについては触れておきたい。
ある場面で伊良部先生は、自分は患者に対してカウンセリングをしないと言い放つ。

「(カウンセリングって)生い立ちがどうだとか、性格がどうだとか、そういうやつでしょ。生い立ちも性格も治らないんだから、聞いてもしょうがないじゃん。」
「気にしちゃいけないって思うこと自体が気にしてることで、どうせ堂々巡りなのよ」
「誰かが守れ、僕は知らないってソッポ向けばいいの、心配は人にさせるの。」

もう、この3つのセリフに本当に救われて。どうにもならないことってどうしてもあって、だけど、普段の生活ではどうにもならないことを自分で、自分の責任でどうにかしなきゃいけないだとか思ったりする。もちろん責任を持つって当たり前に大切なんだけれど、それが度を過ぎると苦しくてたまらない。私も割と何事も気にし過ぎる性格なのだけれど、「気にし過ぎることを気にして落ち込む」よりも、その性格を「受け入れる」ことが大事だって、そう思えたところが本当に良かった。だって、気にしちゃいけないとか気にすることが良くないことだって決め付けているのは自分自身で、実際、気にすることって悪いことばかりじゃない。


物語の中にも出て来たけど、世の中には「自分で何事も心配してしまう人」と「他人に心配させておく人」両方がいる。だけど、例えば心配してしまう人が、他人に心配させておけば良いって考え方にシフトするのはとっても難しい。本当に難しい。それは伊良部先生のセリフにあった通り、生い立ちとか性格に関係していているから、なかなか治したりコントロールしたりできるものではない。だからこそ「気にし過ぎる」ことを「受け入れる」そうすればいいんだって、なおそうとするんじゃなくて、受け入れればいいんだって、私にはこの伊良部先生のセリフはそう取れて、心がスッとした。

そう考えるとこの小説、というか伊良部先生というキャラクターは本当に名医なんじゃないかとさえ思えて来て、何も残らなかったという感想はすごくもったいない気がした。伊良部先生が現実にいたらいいのになあとさえ思ったが、注射マニアであることと、自分本意なぶっ飛んだ行動の数々、そしてストーリーのラストではやっぱり患者に見下されているところを見ると、架空のキャラクターで良かったと我に返ってホッとする。伊良部先生シリーズの「空中ブランコ」も面白いそうなのでまた読んでみようと思った。2018年、良い本に出会えてスタートできた気がする。

イン・ザ・プール (文春文庫)